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東京リベンジャーズ

東京リベンジャーズ 憧れの系譜|誰が誰に憧れたかで読み解く人間関係

東京リベンジャーズ 憧れの系譜|誰が誰に憧れたかで読み解く人間関係

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⚠️ ネタバレ注意
この記事は『東京卍リベンジャーズ』に登場する主要キャラの関係性や立ち位置に触れます。物語の核心となる結末には深く踏み込みませんが、各キャラが誰を慕い、誰の背中を追ってきたのかを整理するため、まったくの未読・未視聴の方は軽度のネタバレとしてご留意ください。なお本記事では、原作で明確に描かれている「憧れ」の事実と、描写から読み取れる解釈を分けて書いています。後者はあくまで「そう読める」という考察であり、公式設定そのものではありません。

『東京卍リベンジャーズ』という作品を一枚の地図にしてみると、面白いことに気づく。点と点をつないでいる線の多くが、「対等な友情」でも「単なる上下関係」でもなく、「憧れ」でできているのだ。柴八戒は三ツ谷隆の背中を追い、花垣武道(タケミチ)はマイキーとドラケンに焦がれ、乾青宗(イヌピー)は自分が生まれる前の「初代黒龍」という伝説に縛られて生きている。

誰かが誰かに憧れる。その憧れた本人が、また別の誰かの憧れの対象になっている。この連鎖こそが、東京リベンジャーズの人間関係を一本の太い縦糸として貫いている——というのが本記事の出発点だ。結論から言えば、この物語は「意志のバトンが世代を超えて手渡されていく物語」として読むことができる。

本記事では、原作勢の視点から「誰が誰に憧れたか」を一枚の系譜図にまとめ直していく。事実として描かれた憧れと、ファンの間で「そう読める」と語られる解釈を、できる限りはっきり分けながら整理したい。あなたが好きなあのキャラも、きっとこの「憧れの網(ウェブ)」のどこかに結ばれているはずだ。

📖 この記事でわかること

  • 東京リベンジャーズの人間関係を貫く「憧れの系譜」の全体像
  • 柴八戒 → 三ツ谷隆という、純度の高い憧れの形
  • タケミチ → マイキー/ドラケンという、主人公を動かした憧れ
  • イヌピー → 初代黒龍という、世代を超えた継承への執着
  • マイキーやイザナが抱えた「兄への想い」という憧れの裏面
  • 憧れがどう次の世代へバトンされていくのか(考察)

そもそも「憧れの系譜」とは何か——この記事の地図の読み方

本題に入る前に、言葉の交通整理をしておきたい。本記事でいう「憧れの系譜」とは、「Aが Bに憧れ、その Bがまた Cに憧れている」という、一方向のつながりが連鎖していく構造のことだ。友情のような双方向の関係とは少し違う。憧れは基本的に「下から上を見上げる」非対称な感情であり、見上げられた本人もまた別の誰かを見上げている——その入れ子構造が、この作品では何重にも重なっている。

『東京卍リベンジャーズ』が単なる不良グループの抗争劇を超えて、多くの読者の胸を打つ理由のひとつが、この「憧れの連鎖」の描き方の巧みさにある——というのが本記事の仮説だ。タイムリープという仕掛けや、キャラの多さといった要素ももちろん大きい。だがそれらと並んで、「先に行った者の背中を、後から来た者が追いかける」という縦の構造が、物語に深い時間の厚みを与えているように読める。

整理のために、本記事では憧れを大きく三つのタイプに分けて見ていく。

  • 純粋な憧れ型:「あの人みたいになりたい」という、ほぼ混じり気のない尊敬(柴八戒→三ツ谷など)
  • 理想を追う憧れ型:自分にないものを持つ相手に焦がれ、それが行動原理になる(タケミチ→マイキー/ドラケンなど)
  • 継承への憧れ型:直接会っていない、あるいは失われた存在の「意志」を継ごうとする(イヌピー→初代黒龍など)

この三つのタイプを軸に、誰がどの線で結ばれているのかを一本ずつほどいていこう。先に全体像を一覧で示しておく。

憧れる側 憧れの対象 タイプ 原作での描かれ方(事実 / 解釈)
柴八戒 三ツ谷隆 純粋な憧れ型 八戒が三ツ谷を強く慕う描写は事実。弐番隊の隊長と副隊長という関係も事実
花垣武道(タケミチ) マイキー/ドラケン 理想を追う憧れ型 タケミチがマイキー・ドラケンに強く心を動かされ行動原理にする描写は事実
乾青宗(イヌピー) 初代黒龍(佐野真一郎ら) 継承への憧れ型 イヌピーが「本来の黒龍」を取り戻そうとする想いは事実。誰を最も理想視したかの細部は解釈を含む
佐野万次郎(マイキー) 佐野真一郎(兄) 継承への憧れ型 マイキーが兄・真一郎を深く慕っていた描写は事実

この表を起点に、一本ずつ太い線から見ていこう。まずは「純度の高さ」でよく語られる、八戒と三ツ谷の関係からだ。

リベ太

リベ太

この作品の関係図ってさ、実は「友情」より「憧れ」でできてる線のほうが多いんだぜ。それを縦にたどると一本の太い糸になるんだ。

リベ子

リベ子

えっ、憧れの線!? たしかにタケミチもマイキーに憧れてたよね。みんな誰かの背中を追いかけてるんだ…💭

リベ太

リベ太

そう、それ。ここからは一本ずつほどいていくぜ。事実と「そう読める」って解釈はちゃんと分けて話すからな。

柴八戒と三ツ谷隆——「あの人みたいになりたい」の純度

「憧れの系譜」を語るうえで、もっとも純度が高い線として真っ先に挙げたいのが、柴八戒(しばはっかい)から三ツ谷隆(みつやたかし)への想いだ。canon照合のうえで確認しておくと、八戒は東京卍會・弐番隊の副隊長、三ツ谷はその弐番隊の隊長(のちに副総長)。つまり二人は直属の上司と部下という、わかりやすい縦の関係にある。

だが八戒の三ツ谷への気持ちは、単なる「上司を立てる」レベルをはるかに超えている。八戒は三ツ谷のことを心から慕い、「三ツ谷さんみたいになりたい」という想いを行動の中心に据えているように描かれる。これは原作・アニメを通して繰り返し滲み出てくる事実ベースの描写だ。強くて、優しくて、面倒見がよくて、芯がぶれない。八戒にとって三ツ谷は、まさに「理想の不良の完成形」として映っていたと読める。

なぜ八戒は三ツ谷に焦がれたのか

ここからは少し解釈が入る。八戒という少年は、柴家三兄妹の末弟だ。canon上、長男は柴大寿(しばたいじゅ/黒龍十代目総長)、長女は柴柚葉(しばゆずは)。八戒は家庭の中で複雑な立場に置かれており、強さや優しさに対して人一倍の渇望を抱えていたと考えられる。だからこそ、外の世界で出会った三ツ谷の「強さと優しさが矛盾なく同居している姿」に、強く惹かれたのではないか——これは「そう読める」という考察である。

三ツ谷もまた、八戒をただの後輩として扱わなかった。弟分のように気にかけ、危ういときには体を張って守ろうとする。憧れは一方通行で始まるが、それが本物であればあるほど、見上げられた側も応えようとする。八戒と三ツ谷の関係は、「憧れが信頼に育っていく」見本のような関係として読み取れる。

八戒の三ツ谷への憧れがどれほど深いか、そして柴家という背景がどう関わるかをより詳しく知りたい方は、二人の関係を掘り下げた記事や八戒の単独解説も用意している。あわせて読むと、この線の太さがより立体的に見えてくるはずだ。

観点 八戒から見た三ツ谷 区分
組織上の関係 弐番隊 隊長(自分は副隊長) 事実
感情の質 強い尊敬と憧れ。「あの人みたいになりたい」 事実
憧れた理由 強さと優しさの両立、芯のぶれなさ 解釈
関係の到達点 憧れが相互の信頼へと深化 事実+解釈
リベ太

リベ太

八戒の三ツ谷への憧れはガチで純度が高いんだ。隊長と副隊長って関係も事実。「あの人みたいになりたい」がそのまま行動になってるタイプだぜ。

リベ子

リベ子

強くて優しい先輩って、そりゃ憧れちゃうよね…! で、三ツ谷さんもちゃんと弟分として大事にしてくれるのが尊い。

タケミチが追った二つの背中——マイキーとドラケン

主人公・花垣武道(タケミチ)の物語は、見方を変えれば「憧れに突き動かされ続けた男の記録」だ。タケミチが東京卍會の総長・佐野万次郎(マイキー)と、副総長・龍宮寺堅(ドラケン)に強く心を動かされ、その姿を追いかけることが行動原理になっていく——これは原作・アニメを通して繰り返し描かれる事実である。

面白いのは、タケミチの憧れが「強さそのもの」への憧れではない点だ。タケミチ自身は喧嘩が強いわけではない。何度殴られても立ち上がる「諦めの悪さ」だけが武器だ。そんな彼がマイキーとドラケンに焦がれたのは、彼らが体現していた「仲間を信じ抜く強さ」「まっすぐな生き方」だったと読める。自分にないものを持つ相手に焦がれる——これが本記事でいう「理想を追う憧れ型」の典型だ。

マイキーへの憧れ——届かないカリスマへの想い

タケミチにとってマイキーは、最初は「最強最悪の不良集団のトップ」という畏怖の対象だった。だが関わっていくうちに、その内側にある孤独や優しさ、そして「みんなを守りたい」という願いに触れていく。タケミチの憧れは、恐れから尊敬へ、そして「この人を救いたい」という能動的な想いへと変質していく。これは事実として描かれた感情の流れだ。

ここから少し解釈を加える。タケミチのマイキーへの想いは、純粋な憧れでありながら、同時に「対等でありたい」という願いも含んでいたように読める。見上げるだけでなく、隣に立って支えたい。だからこそタケミチは、何度も時を超えてマイキーのもとへ戻ってきた——とも考えられる。憧れが「救済」へと昇華していく構造は、この作品のひとつの核心だと言っていい。

ドラケンへの憧れ——もう一人の「理想の不良」

ドラケンへの憧れもまた、タケミチの中で大きな比重を占める。ドラケンは「東京卍會の頭脳」とも称される副総長であり、冷静さと面倒見のよさを併せ持つ存在だ。タケミチはドラケンの「仲間のために体を張る背中」に強く惹かれていく。マイキーが太陽のようなカリスマだとすれば、ドラケンは月のように寄り添う支柱——その両方をタケミチは見上げていた、と読める。

タケミチがマイキー・ドラケンとどう関わり、その憧れがどんなシーンで結晶化したのかは、それぞれの関係を追った記事で詳しく整理している。主人公の原動力を理解するうえで、この二本の線は欠かせない。

対象 タケミチが憧れた中身 憧れの変化
マイキー(佐野万次郎) 圧倒的なカリスマと、内に秘めた優しさ・孤独 畏怖 → 尊敬 → 救いたい想い
ドラケン(龍宮寺堅) 冷静さと面倒見のよさ、仲間に体を張る姿 頼れる先輩 → 守りたい仲間

※マイキーとドラケンは「対立する憧れの対象」ではなく、タケミチの中で同時に並び立つ二つの理想として機能している。どちらか一方を上に置く必要はない。

リベ太

リベ太

タケミチがすごいのは、憧れが「救いたい」に変わったとこなんだ。見上げてるだけじゃなく、隣に立とうとした。だから何度も時を超えて戻ってきたんだぜ。

リベ子

リベ子

マイキーが太陽でドラケンが月って例え、すごくしっくりくる…! どっちも違うかっこよさだから、両方に憧れちゃうの分かるなあ。

イヌピーと初代黒龍——会ったことのない伝説に縛られた男

ここで紹介するのは、本記事でいう「継承への憧れ型」のもっとも象徴的な例だ。乾青宗(いぬいせいしゅう/イヌピー)が抱えていたのは、「初代黒龍(ブラックドラゴン)」という伝説への憧れである。canon照合のうえで整理すると、黒龍の初代総長は佐野真一郎(さのしんいちろう)——マイキーの兄だ。マイキー本人は黒龍総長ではない点に注意したい(記事での誤記が多い箇所だ)。

イヌピーが生きた時代の黒龍は、すでに本来の姿から大きく変質していた。canon上、イヌピーは十代目黒龍の特攻隊長。十代目総長は柴大寿で、その体制下で黒龍は「金で動く組織」へと堕ちていたとされる。イヌピーはその現状を心の底から嫌い、「自分が憧れた、本来あるべき黒龍を取り戻したい」という強い想いを抱えていた。これは原作で描かれる事実ベースの動機だ。

直接会えない理想を追うということ

ここから解釈を加える。イヌピーが理想としていた「黒龍」は、彼自身が直接肩を並べて戦った先輩ではない。創設者・真一郎の時代の黒龍は、イヌピーにとって「物語」や「伝説」として受け取ったものに近いと読める。つまりイヌピーの憧れは、「過去の理想」という、もう手の届かない対象に向けられていた。これは八戒が目の前の三ツ谷に憧れたのとは、性質がはっきり異なる。

だからこそイヌピーの憧れは、ある種の「執着」や「使命感」として描かれる。失われた理想を、自分の手で現代に蘇らせる。この想いがあったからこそ、後に黒龍は再びひとつの形を取り戻していく。canon上、関東事変後の黒龍では花垣武道(タケミチ)が十一代目総長に就任し、イヌピーは十一代目副総長を務める(イヌピーは総長ではなく副総長である点に注意)。

ここに、本記事の核心がくっきりと現れる。初代・真一郎の意志 → イヌピーの憧れ → そしてタケミチへ。会ったことのない伝説への憧れが、巡り巡って次の世代の総長へとバトンされていく。これこそが「憧れの系譜」が世代を超えて機能している、もっとも美しい一例だと言っていい。

黒龍 歴代総長 人物 憧れ系譜との関わり
初代総長 佐野真一郎(マイキーの兄) イヌピーが理想とした「本来の黒龍」の象徴
十代目総長 柴大寿 イヌピーは十代目特攻隊長。この体制への反発が原動力に
十一代目総長 花垣武道(タケミチ) イヌピーの懇願で就任。意志のバトンが渡された先(イヌピーは副総長)

※「黒龍十代目=マイキー」「十一代目総長=イヌピー」は誤り。マイキーは黒龍総長ではなく、十一代目総長はタケミチ、イヌピーは副総長。本記事はこの点を正しく整理している。

リベ太

リベ太

ここ大事なとこな。黒龍の初代総長は真一郎、マイキーの兄貴だぜ。マイキーは黒龍の総長じゃない。間違えやすいから覚えとけよ。

リベ子

リベ子

会ったことない伝説に憧れるって切ないね…。でもそのイヌピーの想いが、最後はタケミチに渡るんだ。系譜ってこういうことか!

リベ太

リベ太

そういうこと。初代の意志→イヌピーの憧れ→タケミチって流れな。憧れがバトンになって世代を超えるんだ。鳥肌モンだぜ。

兄への憧れという裏面——マイキーとイザナの場合

ここまで見てきた憧れは、どれも「他人の背中を追う」ものだった。だが東京リベンジャーズには、もうひとつの憧れの形がある。「兄への憧れ」だ。これは家族の絆であると同時に、ひとりの少年が「あの人みたいになりたい」と願う、純度の高い憧れでもある。

マイキー → 佐野真一郎

佐野万次郎(マイキー)にとって、兄・佐野真一郎は絶対的な存在だった。マイキーが兄を深く慕い、その背中を追っていたことは原作で繰り返し描かれる事実だ。真一郎は前述のとおり初代黒龍総長であり、弟思いの優しい兄として描かれる。マイキーが「強くて優しいリーダー」を目指したその出発点に、兄の存在があったと読むのは自然だろう。

ここで「憧れの系譜」が美しく交差する。マイキーが憧れた兄・真一郎は、同時にイヌピーが理想とした「初代黒龍」その人でもある。一人の人物(真一郎)が、弟のマイキーと、後輩のイヌピー、二つの方向から憧れられている。憧れの網は、こうして思わぬところで結び目を作る。

イザナと「兄」をめぐる想い

もう一人、兄をめぐる複雑な想いを抱えたのが黒川イザナ(くろかわイザナ)だ。canon上、イザナは横浜天竺の総長であり、元・八代目黒龍総長でもある(「黒川伊吹」は誤りで、正しくは黒川イザナ)。イザナが抱えた「兄」をめぐる感情は、純粋な憧れというより、憧れと孤独、そして満たされなさが入り混じった複雑なものとして描かれる。

ここは解釈に踏み込む部分だが——イザナの物語は、「憧れた相手に振り向いてもらえなかったとき、その想いはどこへ向かうのか」という問いを投げかけているように読める。憧れは、報われれば八戒のように信頼へ育つ。だが報われなければ、別の感情へと姿を変えてしまうこともある。イザナの抱えた孤独は、「憧れの系譜」の影の側面として記憶しておきたい。イザナをめぐる事情の詳細は、彼の単独記事や関係を掘り下げた記事に譲る。

人物 「兄」をめぐる想い 区分
マイキー(佐野万次郎) 兄・真一郎を深く慕い、その背中を追った 事実
黒川イザナ 憧れと孤独、満たされなさが入り混じった複雑な感情 事実+解釈
リベ太

リベ太

ここで網が交差すんだぜ。マイキーが憧れた兄・真一郎は、イヌピーが理想にした初代黒龍と同じ人なんだ。一人が二方向から憧れられてる。

リベ子

リベ子

同じ人がいろんな人の憧れになってるんだ…。でもイザナの想いはちょっと切ないね。報われない憧れって、別のものに変わっちゃうのか。

憧れは世代を超えて受け継がれる——意志のバトン

ここまで個別の線を見てきたが、いよいよ全体を俯瞰してみよう。これらの憧れを一枚の図に重ねると、東京リベンジャーズという作品が「意志のバトンリレー」として設計されていることが見えてくる——これは本記事最大の考察だ。

たとえば黒龍をめぐる縦の流れを追ってみる。初代総長・真一郎が掲げた理想は、弟マイキーの生き方の出発点になり、同時にイヌピーが取り戻そうとした「本来の黒龍」の原型になった。そしてイヌピーの想いは、十一代目総長となったタケミチへと託された。真一郎 → イヌピー → タケミチ。時代も立場も違う三人が、「黒龍」という一本の糸で確かにつながっている。

東京卍會の側でも同じことが起きている。マイキーやドラケンが体現した「仲間を信じ抜く生き方」は、タケミチの憧れの対象となり、タケミチを動かし続けた。そしてそのタケミチの「諦めの悪さ」もまた、関わった者たちの心を動かしていく。憧れは、見上げられた者の中だけで完結しない。憧れた者が次の誰かの憧れになる——この入れ子こそが、物語に「終わらない継承」という奥行きを与えている。

なぜ「憧れの系譜」は物語を強くするのか

ここからは作劇的な考察だ。なぜ和久井健先生の描く「憧れの連鎖」は、これほど読者の胸を打つのか。理由は、憧れが「時間の縦軸」を可視化するからだと考えられる。一人のキャラを単体で見ても、見えるのはその人の現在だけだ。だが「この人は誰に憧れて、誰に憧れられているのか」という縦の線を引いた瞬間、過去から未来へと続く時間の流れが立ち上がる。

タイムリープという仕掛けが「横の時間(過去と現在の行き来)」を扱う装置だとすれば、憧れの系譜は「縦の時間(世代から世代への継承)」を扱う装置だと読める。横と縦、二つの時間軸が交差するからこそ、この作品は単純な抗争劇を超えた厚みを持つ——これが本記事の到達点だ。

系譜の流れ 受け継がれた「意志」 区分
真一郎 → イヌピー → タケミチ 「本来の黒龍」という理想 事実(系譜)+解釈(意志の継承)
マイキー/ドラケン → タケミチ 仲間を信じ抜く生き方 事実(憧れ)+解釈
三ツ谷 → 八戒 強さと優しさの両立 事実(憧れ)+解釈
真一郎 → マイキー(兄弟) 弟思いのリーダー像 事実(慕情)+解釈
リベ太

リベ太

タイムリープが「横の時間」なら、憧れの系譜は「縦の時間」なんだ。横と縦が交差するから、この作品はただの抗争モノにならないんだぜ。

リベ子

リベ子

縦の時間っていう言い方、好き…! 憧れた人がまた誰かの憧れになる。バトンが終わらないんだね。

リベ太

リベ太

そう、終わらないんだ。誰かの背中を追った奴が、いつか誰かに背中を見せる側になる。それがこの作品の芯だと俺は思うぜ。

「憧れの系譜」をたどると、もう一度最初から原作を読み返したくなる。誰が誰の背中を追っていたのか——それを意識しながら読むと、見慣れたはずのシーンがまるで違って見えてくるはずだ。世代を超えて受け継がれる意志を、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

原作コミックはもちろん、アニメで「憧れの眼差し」がどう演技と作画で表現されているかを追うのも格別だ。下記の関連商品から、自分に合った楽しみ方を選んでみてほしい。

よくある質問(FAQ)

Q1. 柴八戒が憧れていたのは本当に三ツ谷隆ですか?

はい。八戒が三ツ谷を強く慕っている描写は原作・アニメで繰り返し示されており、事実です。二人は東京卍會・弐番隊の隊長(三ツ谷)と副隊長(八戒)という関係でもあります。八戒の「あの人みたいになりたい」という想いは、本記事でいう「純粋な憧れ型」の代表例です。

Q2. タケミチはマイキーとドラケン、どちらに強く憧れていたのですか?

どちらか一方を上に置く描写はなく、二人は同時に並び立つ理想としてタケミチの中に存在しています。マイキーは「カリスマと内なる優しさ」、ドラケンは「冷静さと仲間に体を張る姿」と、惹かれたポイントが異なります。本記事ではマイキーを太陽、ドラケンを月にたとえて整理しています。

Q3. イヌピーが憧れた「初代黒龍」とは具体的に誰のことですか?

黒龍の初代総長は佐野真一郎(マイキーの兄)です。イヌピーは自分が生きた時代の堕落した黒龍を嫌い、「本来あるべき黒龍を取り戻したい」という想いを抱いていました。これは事実です。ただし、イヌピーが真一郎個人をどこまで理想視していたか、その細部の心情は解釈を含みます。

Q4. マイキーは黒龍の総長だったのですか?

いいえ。これはよくある誤解ですが、マイキー(佐野万次郎)は黒龍の総長ではありません。黒龍の初代総長は兄の佐野真一郎です。マイキーが率いたのは東京卍會です。「黒龍十代目=マイキー」という記述は誤りですので注意してください。

Q5. 黒龍十一代目総長はイヌピーですか?

いいえ。黒龍の十一代目総長は花垣武道(タケミチ)で、イヌピー(乾青宗)は十一代目副総長です。イヌピーの懇願によってタケミチが総長に就任したという経緯があり、ここに「初代の意志がタケミチへ受け継がれる」という系譜が表れています。

Q6. 「憧れの系譜」は公式が明言した設定ですか?

個々の「憧れ」自体(八戒→三ツ谷、タケミチ→マイキー/ドラケンなど)は原作で描かれた事実です。一方、それらを「意志が世代を超えて受け継がれる系譜」として一本につなぐ読み方は、本記事による考察(そう読める、という解釈)です。両者を混同しないようご注意ください。

Q7. イザナの「兄」への想いも憧れに含めていいのですか?

イザナ(黒川イザナ)の感情は、純粋な憧れというより憧れ・孤独・満たされなさが入り混じった複雑なものとして描かれています。本記事では「報われなかった場合の憧れの行方」を示す影の側面として位置づけました。彼の事情の詳細は単独記事で扱っています。

「憧れの系譜」を構成する一本一本の線を、もっと深く知りたい方へ。以下の記事で、それぞれの関係を掘り下げています。

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憧れの系譜が教えてくれること——まとめ

『東京卍リベンジャーズ』の人間関係を「誰が誰に憧れたか」という軸で読み解くと、この作品が「意志のバトンが世代を超えて手渡されていく物語」であることが見えてくる。柴八戒は三ツ谷隆の背中を追い、タケミチはマイキーとドラケンに焦がれ、イヌピーは会ったことのない初代黒龍の理想を取り戻そうとした。そしてその想いは、巡り巡って次の総長・タケミチへと託される。

個々の「憧れ」は原作が描いた事実だ。だが、それらを一本の縦糸として束ね直すと、タイムリープの「横の時間」と交差する「縦の時間」——つまり継承の物語が立ち上がる。これが本記事の最大の考察だった。憧れた者が、いつか誰かに背中を見せる側になる。終わらないこのバトンリレーこそが、東京リベンジャーズという物語の芯にある温度なのだと思う。

あなたが好きなあのキャラも、きっとこの「憧れの網」のどこかに結ばれている。次に原作を開くときは、ぜひ「この人は誰の背中を追っていたのか」を意識しながら読んでみてほしい。見慣れたページが、きっと違う輝きを帯びるはずだ。

リベ太

リベ太

結局この作品って、憧れのバトンの話なんだよな。誰かを追いかけた奴が、いつか追いかけられる側になる。それが世代を超えて続くんだ。

リベ子

リベ子

もう一回最初から読み返したくなっちゃった…! 「この人は誰の背中を追ってたのかな」って考えながら読むね。ありがとう、リベ太!

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